今週土曜”MovemEnt” / Kendrick Lamar “TPAB” 解釈

今週土曜はいよいよEDDIE’Sが新たに仕掛ける”MovemEnt”の記念すべき一回目が開催されます!
福生のアンダーグラウンドで脈々と受け継がれてきたHouse / Techno系のいわゆる”4つ打ち”に加え、Reggae / Breaks / Drum’n Bass / Balearic等といった多種多様なClub Musicをフィーチャーし、毎月エッジの効いたLIVE / パフォーマンスアクトをブッキングする注目のEntertainment Event。
詳細はこちらから
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先週紹介したKendrick Lamarのニューアルバム”To Pimp A Butterfly”もう聴きましたか?
ぼくはリリックや対訳を調べつつもう20周は聴いてます笑

Kendrick-Lamar-To-Pimp-A-Butterfly-Album-Artwork

前作の”good kid, m.A.A.d city”がアルバムを通してLamar自身の過去の体験に基づいたストーリーテリングな内容になっているのに対し、今作はアルバム1枚通してストーリー構成されている訳ではないものの1曲1曲に繋がりがあったり、テーマをしっかり据えた現在〜未来へのメッセージ性の強い作品になってると思います。アートワークのホワイトハウス前で上裸で札束と40oz(=1.183ℓ)ビール(代表的なもので約700円程度)を持った黒人の貧困層を象徴するかの様な人々の足元にジャッジガベル(裁判官が持つハンマー/小槌)を持った裁判官が横たわっているという構図も印象的です。

Boris Gardiner”Every Nigger Is A Star”サンプリングの”Wesley’s Theory”から始まりますが、ブレイクのDreLamarに釘を刺す様に話しかける感じで入ってくるんですが渋いです。

You said you wanted a spot like mine
But remember, anybody can get it
The hard part is keeping it
要訳すると”成功は誰にでもできるが難しいのはそれをキープすることだ”
成功は誰にでもできる…DreLamarだからできる会話ですね笑

190px-Wesleysnipes_cropped_2009

タイトルの”Wesley”は俳優のWesley Snipesから取っていて、所得税の虚偽申告により脱税容疑で告発されたことでリリックの中ではアメリカという国の視点からLamarへ向け”おまえをウェズリースナイプしてやるからな”と動詞として出てきます。”どんだけ成功しても税金をがっぽり頂く、さもなくば脱税で起訴しておまえの社会的地位を貶める”という意味の様です。このシステムは売春婦やドラッグの売人がいくら稼いでもその大部分は元締めであるピンプの懐に入るのと同様にLamarが稼いだ大部分も国家の懐に入るのと同じで、成功者(蝶)も国のシステムに囚われている(ピンプされてる)、アルバムタイトルもここからと思われます。

次のInterludeとしての”For Free?”でも”This dick ain’t free”(オレのブツはタダじゃないぜ)と度々繰り返され、最後に”Oh America, you bad bitch, I picked cotton that made you rich”(オレが摘んだ綿花(=作った音楽)のおかげでリッチだな、クソビッチめ)と国家・アメリカに向け口撃。

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今作の中でも人気の高い”King Kunta”はラップ界の成功者となった(=キングとなった)Lamarを不快に思う人間や、恩恵に与ろうと卑しく近づこうとする人間をオレの脚を切断したがってると表現し、これはAlex Haley著の小説”Roots”に出てくる18世紀の黒人奴隷Kunta Kinte(クンタ・キンテ)が逃亡を試みた際に脚を切断されたエピソードに由来しているそうです。

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もう一曲のInterlude、”For Sale?”Lucyが登場しますがLucifer(悪魔/堕天使)のことの様です。LucyLamar”心配しなくていいんだよ””ポケットをお金でいっぱいにしてあげるよ””君のママをコンプトンのゲトーから高級マンションに移してあげるよ”などの甘い言葉をかけ魂を売る様に言います。これは悪行を働けということではなく”大衆受けする中身の無い音楽を作って稼ぐ”ことを悪魔に魂を売ることと表現してます。前作でも触れていた同調圧力やセルアウトを勧められることに苦しんでる様子がここでも表れてます。

ぼくが今作で特に好きな”Hood Politics”では久しぶりにHoodの日常を目の当たりにしたLamarの心境をラップしてます。フックで使われている”boo boo”は過去のミクステ”O.verlyD.edicated”収録の”Cut You Off”のフックでも使われ、他人をけなす言葉として用いHoodの人々がいかに小さなことで争ってるかを訴えています。前作の“Money Trees”で使われてる”Ya bish”同様耳当たりの良いお気に入りワードです。

“Complexion (A Zulu Love)”は肌の色とギャングのチームカラー(青のクリップスと赤のブラッズ)なんて関係ないと、色のダブルミーニングで言及。客演のRapsodyも秀逸です。

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リードシングルとなった”The Blacker The Berry”、シングルとは少し異なった構成の”i”から読み取れる様にTrayvon MartinMichael Brown等の人種差別が絡む事件がLamarに大きな影響を与えてるみたいですね。

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最後の”Mortal Man”のアウトロで随所に入ったポエムの全貌が明かされ、夢に現れた2 Pacから”オレの音楽を絶やすな”と言われたというエピソードを持つLamarが生前の2 Pacのインタビュー音声を引用しLamarとの疑似対話形式に構成されてます。芋虫(=Hoodの人々/ストリートの囚人)と蝶(=成功者)、同じものだけど違う。最初は忌み嫌われる芋虫から愛される蝶になりたいと考える。だけど長く厳しい環境にいる内に多くの芋虫は蝶を弱さと考え、目先の利益を求め同調圧力に負け自分を捨てて内向的になり外の世界を恐れマッドシティという壁に囲まれた一つの檻に囚われているとも知らずに閉じこもる。でもその内に”ここを抜け出そう”と気付いた芋虫が背中から羽を生やして蝶になって羽ばたき、停滞したサイクル、檻から抜け出し自由を得て苦しみの日々を終える。と、アルバムテーマに絡めてアルバムを締めくくってます。

以上、長くなってしまいましたが”TPAB”の大まかな流れを調べて自己解釈も交えて簡単にまとめました。

ぜひ未聴の方は買って損のない作品なのでぜひ。

”To Pimp A Butterfly” (iTunes) 

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